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漢詩紹介

望海 藤井竹外
吟者:鈴木 永山
2005年2月掲載
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読み方

  海を望む  <藤井 竹外> うみをのぞむ  <ふじい ちくがい>
鵬際晴れ開く九萬の天 ほうさい はれひらく きゅうまんのてん
無人の島は定めて何れの邊なる むじんのしまはさだめて いずれのへんなる
風を追う狂浪奔馬の如く かぜをおう きょうろう ほんばのごとく
忽ち巉礁に觸れて碎けて烟と作る たちまち ざんしょうにふれて くだけてけむりとなる

字解
 鵬 際    鵬(おおとり)の飛び翔(か)ける大空
 九萬天    九万里の意味、大空の広大さを形容した語
 無人島    人の住んでいない島、ここでは小笠原島を指す
 狂 浪    激しく荒れ狂う浪
 奔 馬    あばれ馬、勢いのよいたとえ
 巉 礁    巉は切り立って険しいさま、礁は水面に見え隠れする岩

意解
鵬のかけめぐる大空は晴れわたっていて、海は果てしなく広く望まれる。かねて聞いていた無人島というのは 、どのあたりにあるのであろうか。島は見えないが、多分そのあたりにあるのだろうと思われる海上に、遠く沖から風にのって 狂い寄せる浪はまるで奔馬のような勢いで寄せて来て、たちまち険しい岩島にぶつかり、砕け散って烟となって飛び散る、誠に壮快な 眺めである。

備考
この詩の構造は仄起こり七言絶句の形であって、下平声一先[せん]韻の天、邊、烟の字が使われている。





作者略伝
藤井 竹外 1807-1866
  徳川末期の詩儒。名は啓(けい)、字は士開(しかい)、竹外又は雨香仙史(うこうせんし)と号す。 文化4年摂津高槻藩の名家に生まれる。頼山陽に学び、梁川星巌、廣瀬淡窓等と交わる。絶句に秀で絶句竹外の称あり。生涯詩酒快適にして慶応2年7月没す、年60。

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