悠久の名詩選

ごあいさつ

公益社団法人 関西吟詩文化協会 総本部
会長 山口華雋

巻頭言の一節に「………其の意を悟り其の義を楽しむにいたりて完きなり。楽しめば則生ず、詩中の景、詩中の情、油然として其の心に生じて来りて、己遂に詩中の人となる。これを同化という。吟詩の妙味ここにあり、修養の道も亦ここにあり。」があります。

中国から伝わり日本の文化に大きな影響を与えた漢詩、又、漢字からやがてひらがなが生まれ、日本固有の短歌の世界が花開き、やがて俳句・新体詩が生まれてまいりました。私達は、この伝統文化である漢詩・和歌・俳句・新体詩を愛唱することにより、又、作詩を楽しむことにより、人生の修養を図らんとするものであります。

其の意を悟り、その義を楽しむには、教本の紙面での解説では、不十分であることから、詩の背景・作者の心情などを詳しく解説する詳解書の発行が嘱望されておりましたが(星野哲史先生・藤元哲湊先生らによる詳解書あり)総本部では、平成十七年に、より吟詠をたのしんで頂く一助として、機関誌「吟詩日本」に「悠久の名詩」として漢詩・作者をより詳しく紹介することといたし、現在まで連載して参りました。

この度創立八十周年を迎えるに当たり、記念事業の一環として、過去掲載された悠久の名詩シリーズを一冊の書籍にまとめました。日頃の吟詠活動及び、より有意義な詩吟人生をお送り戴く為の資料のひとつとしてご愛読下されば幸甚にぞんじます。

巻頭言・ごあいさつ
中国地図
峨眉山月 李白の叫びが聞こえる
李白
白帝城 今も人の心を捉えてはなさない李白の詩
李白
登高 憂愁の詩人、悲憤・糠慨を詠う
杜甫
秋興 憂愁の詩人 望郷を詠う
杜甫
送元二 中国第一の送別詩『渭城曲』 古来唱い継がれた『陽関三畳の曲』
王維
九月九日憶山東兄弟 自然派の詩人 望郷を詠う
王維
泊秦淮 滅びし南朝への懐古
杜牧
旅夜書懐 絶望的な自嘲のつぶやき
杜甫
絶句(二) 杜甫の心をとらえた景…とその情
杜甫
草堂題東壁 廬山の風光をこよなく愛した中唐の詩人
白楽天
清平調詞三首 念願かなった朝廷への出仕
李白
示姪孫湘 廬山の風光をこよなく愛した中唐の詩人
韓愈
易水送別 義を負うて死地に向かう親友を思う
駱賓王
蜀中九日 唐詩の幕あけ
王勃
六月二十七日望湖樓酔書 比喩とユーモアの名手
蘇東坡
赤壁 蘇軾の雅遊に思いをはせる
袁枚
涼州詞 出塞(涼州詞) 兵士の心痛に涙する辺塞詩
「涼州詞」王翰 「出塞(涼州詞)」王之渙
遊山西村 山紫水明の地故郷で詠んだ名篇
陸游
蘇臺覧古と越中懷古 古の歴史の跡を覧・古を懐う
李白
鹿柴 どんな人も自然にあこがれ、いつかは自然の中に帰りたい
王維
江雪 一幅の山水画を思わせる叙景
柳宗元
囘鄕偶書 李白を長安詩壇に推した人
賀知章
黄鶴棲 唐代随一と絶唱された黄鶴棲
崔頴
楓橋夜泊 旅愁をうたった詩で、古来より有名であるが解釈にあたっては諸説がある
張繼
春暁 春の季語に
孟浩然
送辛漸 一片の氷心珠玉の一句が心を揺さぶる
王昌齡
清明 晩唐第一の詩人
杜牧
送張生 北宋時代の逸材
歐陽修
江南春望 双曲の屏風画の如し
杜牧
咸陽城東樓 唐朝の滅亡を予感し憂慮す
許渾
山園小梅 梅を妻のように愛した詩人
林逋
蜀相 波瀾万丈の大詩人
杜甫
唐宋八大家の一人で政治家でもあった
王安石
獨不見 晩秋 わび住まいの若妻が遠征中の夫を憶う
酌酒輿裴迪 現代世相を反映する心眼の詩
王維
年表
参考資料
発刊にあたって
編集を終えて

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