吟さんの一問一答

第2回
吟さんのちょいと一問一答 社団法人ってなあに」
「難しい公益法人のお話を分かりやすく・・・」

公益法人の制度改革に対応

前回の特別号で、公益社団法人のこと、いろいろお聞きしましたが、関西吟詩文化協会は、やっとこのたび「公益社団法人」になったそうですね・・・その後の経過も含めてわかりやすく教えてください。
このたびの公益社団法人移行は、公益法人の制度改革によるものです。明治29年の民法制定で始まったわが国の公益法人制度は、約1世紀にわたって民間の非営利部門として大きな役割を果たしましたが、今の社会に十分対応していないところも出てきました。このため、制度が大幅に改革され、新しい法律が施行された平成20年12月からは、5年以内に全国の24,314法人(このうち国所管6,625法人)が「公益」か「一般」化への移行が求められています。

公益社団法人への移行を決断

そこで私たちの関西吟詩文化協会は、「公益社団法人」化への移行を決断したわけですね。
そうです。関西吟詩文化協会は組織が全国にまたがっている国所管の社団法人(文部科学省所管)だったので、内閣府の公益認定委員会から直接審査を受けてきました。そしてこのほど、ようやく移行認定にたどり着いたのです。平成23年7月の申請以来、審議官による4カ月の審査の結果、12月9日に認定委員会の答申を頂き、12月22日に内閣総理大臣の認定書が交付され、明けて24年1月4日付けで法務局に法人登記できたわけです。
公益社団法人への移行認定は難しいものと聞いておりましたが、認定されるには、何がどう難しかったのですか?

厳しい基準をクリアして認定

新しい法律の下に厳しい基準が決められています。ひとつには定款内容、事業内容が法律に適合しているかどうか。これについては「民による公益の増進」という観点から合法的に、合理的に透明性をもって事業がなされているか、定款に問題は無いかなどをつぶさに審議されました。また、経営数値などが認定基準に適合しているかについては、「公益目的事業費率が50%以上になっているか」、「遊休財産が制限を超えていないか」など経理的な基準の適合を厳しく検査されました。
公益社団法人になったあとも、いろいろと難しい課題があるようですね。
そうです。公益社団法人は公益目的事業を行うことを主たる目的としている法人です。認定審査のポイントは単に申請時点の方便だけではダメで、移行認定後も運営の適性を確保しなければなりません。行政庁の監督・報告・立ち入り検査を受けることが決められています。
でも、みなさんと共に喜び合いたいことは、今回の審議を通じて、詩吟は国の伝統技芸のひとつで、詩歌吟詠、漢詩などを通じて国の精神文化の向上発展に寄与していると認められたことです。関西吟詩文化協会は、公益を図るための法人で、その活動のほとんどが「公益目的事業」に当たると認定されたことです。私たちは今まで同様、自信を持って堂々と詩歌吟詠の普及振興、継承することに力を入れて行きたいものです。

詩吟の普及に力を入れよう

今後の運営は具体的にどのように変わっていくのでしょうか?
「詩吟そのものが公益」と認められた以上、内輪の活動のみに終始せず、今まで以上に外部に眼を向けることが求められています。
具体的に説明しますと、たとえば「吟詩日本」やホームページは、これまでの会員主体から、民間に向けた幅広い情報誌へ転換しなければなりません。各種大会も、一般の人たちへの呼びかけや、一般の人が参加しやすい行事の立案などが求められます。こうした事業運営で、毎年公益目的事業比率を50%以上にする為の、経営努力、創意工夫が求められます。さらに、法人運営面では「理事会」の執行機関としの役割が一層重要になります。この一年はそういったすべてのことを洗い直して強固な体質にし、会員増強をすすめて将来像をしっかりと確立したいものです。
公益社団法人には、どんなメリットがあるのですか。
公益社団法人は、今まで以上の税制上の優遇措置があります。また新たに寄付者の税制上優遇措置などもあり、寄付が一層受けやすくなるなど多くの改定事項もあります。そして何といっても、国の認定機関として社会的信用度が高いですね。詩吟の会として、一段と高いレベルの公益法人として認められたことになります。

公益社団法人に大きな誇りを!

私たちとしては、初めてで、難しいことが多く、少し戸惑いがありますが・・・
大丈夫ですよ。公益社団法人になった関西吟詩文化協会の一員であることに大いに誇りを持ってください。関西吟詩文化協会は昭和9年の創立以来80周年を迎えようとしています。ボランティア精神で励んで来られた先輩先生方の懸命なご努力で、ここまで発展してきました。私たちは歴史と伝統を踏まえながら、この精神を受け継ぎ、楽しい詩吟を一人でも多くの人たちに普及させるように努めましょう。そして平成25年度の創立80周年へ向けて弾みをつけたいものです。
よくわかりました。今日はどうもありがとうございました。