漢詩の作り方

漢詩を作りませんか

漢詩は誰にでも作れます。あなたも作ってみませんか。唐の時代に確立された近体詩の法則を説明しましょう。この法則にしたがって漢詩を作ります。

1.四声[しせい]

中国(唐の時代)の漢字にはアクセントによって四種類あります。

平声[ひょうせい/ひょうしょう]
高く平らな調子の語
上声[じょうせい/じょうしょう]
語尾がしり上りになる調子の語
去声[きょせい/きょしょう]
語尾がしり下りになる調子の語
入声[にゅうせい/にっしょう]
語尾がつまる調子の語

平声のことは「平字」ともいい、「○」で表示します。上声、去声、入声の三つを合せて仄声[そくせい]または仄字[そくじ]といい、「・」で表示します。
一般的に漢和辞典をひくと、このアクセントの説明が、漢字の下に記号で表示されています。

漢和辞典の表示例

平字 平声
<例>
天 →
仄字 上声
<例>
子 →
去声
<例>
聖 →
入声
<例>
哲 →

2.平仄法[ひょうそくほう]

漢詩を作る場合には、この平字と仄字の配列順序がきめられています。

3.七言絶句・起承転結[しちごんぜっく・きしょうてんけつ]

一句が七字ででき、四句からできている詩を七言絶句といいます。一句目を起句、二句目を承句、三句目を転句、四句目を結句といい、これを起承転結と呼びます。

4.平起式七言絶句[ひょうきしきしちごんぜっく]

七言絶句には平起式と仄起式があります。起句の二字目が平字である場合、平起式七言絶句といいます。では平起式の漢字の配列法を説明します(仄起式は次回)。

結句 転句 承句 起句

5.二四不同[にしふどう]

この配列で分るごとく、各句とも二字目が平字であれば、四字目は仄字となり、二字目が仄字であれば、四字目は平字にします。つまり二字目と四字目は平仄が逆になります。これを二四不同といいます。

6.二六同[にろくどう]

また二字目が平字であれば、六字目も平字となり、二字目が仄字であれば、六字目も仄字となります。これを二六同といいます。つまり、二字目と六字目は平仄が同じになります。

7.押韻[おういん]

起・承・結句の七字目は同じひびきの語を使わねばなりません。韻は分類された表がありますのでそれによって選びます。韻字は「◎」で表示します。

8.一三五不論[いちさんごふろん]

一字、三字、五字目は平仄どちらでも良いのです。これは「△」で表示します。

9.下三連を忌む[かさんれんをいむ]

各句とも下の三字(五、六、七字目)は同じものが三字続いてはいけません。
以上をもとにして、先程の配列法を書きかえると次の様になります。

結句 転句 承句 起句

10.詩語集[しごしゅう]

以上の法則に漢字をあてはめてゆきます。最初にのべたごとく、平仄は中国語によるアクセントの区分ですので、我々には分りません。辞書には全部平仄が表示されていますが、探すのは大変です。幸にも、先人達が詩語集を作成して、平仄が分るように分類してくれて、平字、仄字、韻が使い易くしてくれていますので、これを利用すれば簡単に作れます。では有名な詩で実例を示しましょう。

11.作詩[さくし]

この様にして、詩語集に基づいて二字、二字、三字を組み合わせて詩を作ることができます。最初はパズルみたいに二字、二字、三字を意味が通るように並べていますが、次第に慣れてくると、平仄も覚え、詩語も豊かになってきます。多少根気がいりますが、がんばって自分の詩を作ってみませんか。

制作:関西吟詩文化協会 能田 岳泉