漢詩の作り方

七言絶句編

12.仄起式七言絶句[そっきしきしちごんぜっく]

前述の「金州城」は平起式でしたが、次に仄起式の平仄法の配列法を示します。

結句 転句 承句 起句

では仄起式の詩の実例を以下に示しましょう。江戸時代の漢詩人、菅茶山による詩です。

13.七言絶句の構成―起承転結

前に述べましたごとく、七言絶句は起承転結にて構成されます。

起句(第一句目) ある内容を言い起す
承句(第二句目) 起句を承(う)けてその内容を発展させ起承二句でひとつの意味をなす
転句(第三句目) 起承の内容を一転させる
結句(第四句目) 起承転句を受けて一貫した意向で結ぶ

この起承転結の構成の仕方を頼山陽の説明で示します。

起句 大阪本町 糸屋の娘
承句 姉は十八 妹は十五
転句 諸国の大名 弓矢で殺す
結句 糸屋の娘は 目で殺す

起句で糸屋に娘があると説き起こし
承句で姉妹の年頃を説明
転句で大名は弓矢で人を殺すと結句の意味を引き起こし
結句で娘は目で殺すとその器量をほめる。
詩を作るには、この起承転結の構成が大切である。

14.詩語集による作詩

初心者が作詩する場合、便利な詩語集は太刀掛呂山著 「だれにもできる漢詩の作り方」であります。(関西吟詩文化協会総本部に在庫あり)
内容の一部を掲載、これにより作例を示します。

「だれにもできる漢詩の作り方」53ページ

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詩語集により「雨中送春」という題の詩を作ってみましょう。
まず、どの韻を選ぶか。自分の思いで作り易いものをきめます。今回は「支」韻で仄起式です。
「雨中送春」のページから仄起式の仄字(●●)の二字、平字(○○)の二字、韻の三字語を結びます。詩語集では平仄別に言葉が記されていますので、ここでは韻の部分は●●○の「花落時」を選び、●●から「九十」、○○から「三春」をそれぞれ選び組み合わせることで、起句「九十三春花落時」ができました。
承句は平字の二字、仄字の二字、韻の三字語を結び「愁聴清昼雨声滋」とします。転句も同じ要領にて「誰憐万紫渾無迹」、結句は「坐見幽斎鳥語悲」というように、○で囲んだ二字、二字、三字を平仄によって意味の成り立つようにつないでゆくのです。

同じ要領で、平起式七言絶句を作ります。

「だれにもできる漢詩の作り方」95ページ

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最初はこのようにして、二字、二字、三字をくみ合わせ、熟達すれば辞書により色々な詩語を使うようにします。漢詩は誰にでもできます。さあ、挑戦してみませんか。

制作:関西吟詩文化協会 能田 岳泉