漢詩紹介

読み方

  • 中秋の月<蘇東坡>
  • 暮雲收まり盡くして 清寒溢る
  • 銀漢聲無く 玉盤を轉ず
  • 此の生此の夜 長しえに好からず
  • 明月明年 何れの處にか看ん
  • ちゅうしゅうのつき<そとうば>
  • ぼうんおさまりつくして せいかんあふる
  • ぎんかんこえなく ぎょくばんをてんず
  • このせいこのよ とこしえによからず
  • めいげつみょうねん いずれのところにかみん

字解

  • 收 盡
    収まりなくなる
  • 清 寒
    すがすがしい冷気
  • 銀 漢
    天の川
  • 玉 盤
    月の異名
  • めぐる・まわる
  • 不長好
    いつも良いとはかぎらない

意解

 夕暮れの雲はあとかたもなく、すがすがしい冷気が夜空に満ちている。天の川は音もなく玉(ぎょく)の皿のような月を天上にめぐらせている。限りあるわが生涯いつまでもこのようなすばらしい明月に会えるとはかぎらない。この明月のすばらしさを、明年はどこで看(み)ることであろうか。

備考

 この詩の構造は平起こり七言絶句の形であって、上平声十四寒(かん)韻の寒・盤・看の字が使われている。此の詩は拗体である。

結句 転句 承句 起句

作者略伝

蘇東坡 1036-1101

 北宋第一の詩人、名は軾(しょく)、字は子瞻(しせん)、東坡は号、父洵(じゅん)、弟轍(てつ)と共に 文学者にして三蘇といわれた。四川省眉山(びざん)県紗穀行(さこくこう)の生まれ、幼にして 道教的教育をうけ、上京して官途につく。中央、地方の官を歴任しその間度々流謫(るたく)された。 官は礼部尚書(れいぶしょうしょ)に至る。江蘇省常州において没す。死後、文忠公(ぶんちゅうこう)と諡 (おくりな)される。