漢詩紹介

読み方

  • 鹿柴<王維>
  • 空山 人を見ず
  • 但 人語の 響きを聞く
  • 返景 深林に入り
  • 復 靑苔の 上を照らす
  • ろくさい<おうい>
  • くうざん ひとをみず
  • ただ じんごの ひびきをきく
  • へんけい しんりんにいり
  • また せいたいの うえをてらす

字解

  • 鹿 柴
    鹿を飼うための柵
  • 空 山
    人影のないひっそりとした山
  • 返 景
    夕日の光

意解

 人影のないひっそりとした山の中、誰かの話し声だけがこだまして聞こえてくる。
夕日の光が深い林のなかに射し込んできて、青い苔の上を照らしている。

備考

 王維は晩年=車へんに罔=川(もうせん)の別荘に住み、20の景勝地を詩に詠んだ。これはそのうちの一つで、「竹里館」(A54-2)も同様である。この詩の構造は、五言古詩である。仄韻で上声二十二養(よう)韻の響、去声二十三漾(よう)韻の上の字が通韻として使われている。古詩は平仄を論じない。

作者略伝

王 維 701-761

 盛唐の詩人。字は摩詰(まきつ)。山西省太原(たいげん)の人。開元19年(731)の進士。弟縉(しん)と共に幼少より俊才、官は尚書右丞(しょうしょゆうじょう)に至る。55歳の時安禄山(あんろくざん)の乱に遭遇し、賊に捕えられ偽官の罪を得たがのち赦される。晩年=車へんに罔=川(もうせん)に隠棲し、兄弟共に仏門に帰依(きえ)する。また画の名手にして南宗画(なんしゅうが 文人画)の祖となる。