漢詩紹介

読み方

  • 山中幽人と対酌す<李白>
  • 兩人對酌 山花開く
  • 一杯一杯 復一杯
  • 我醉うて眠らんと欲す 卿且く去れ
  • 明朝意有らば 琴を抱いて來たれ
  • さんちゅうゆうじんとたいしゃくす<りはく>
  • りょうにんたいしゃく さんかひらく
  • いっぱいいっぱい またいっぱい
  • われよう(オ)てねむらんとほっす きみしばらくされ
  • みょうちょういあらば ことをいだいてきたれ

字解

  • 幽 人
    隠者 世俗を離れ奥深い所などに住む人
  • 同等以下に用いる二人称
  • 少しの間 まあちょっと ひとまず
  • 膝の上に乗るほどの琴

意解

 花の咲いている山中で、君と私は向き合いながら、世俗のことを忘れて酒を酌み交わす。一杯、一杯、また一杯と。
 私はすっかり酔って眠くなったので、君はひとまず帰りたまえ。明朝気が向いたら今度は琴を抱えて話しに来てくれ。

備考

 この詩は作者56歳の7月、廬山に隠棲したころの作とする説もあるが不詳である。承句の同語の繰り返しは作詩法にない型やぶりである。「山中對酌」と題するものもある。詩の構造は平起こり七言絶句のようであるが、起句が下三連、承句が二四同、二六不同になっているから拗体である。上平声十灰(かい)韻の開、杯、來の字が使われている。「古文真宝前集」に所収されている。

結句 転句 承句 起句

作者略伝

李 白 701-762

 盛唐の詩人。杜甫と並び称される。蜀(しょく)の錦州彰明県青蓮郷(きんしゅうしょうめいけんせいれんきょう)の人で青蓮居士(せいれんこじ)と号した。幼にして俊才、剣術を習い任侠の徒と交わる。長じて中国各地を遍歴し、42歳より44歳まで玄宗(げんそう)皇帝の側近にあり、のち再び各地を転転とし多くの詩を残す。安禄山(あんろくざん)の乱に遭遇して罪を得たがのち赦される。年62歳。病のために没す。「詩仙」と呼ばれる。