漢詩紹介

読み方
- 勅勒の歌<無名氏>
- 勅勒の川 陰山の下
- 天は穹廬に似て 四野を籠蓋す
- 天は蒼蒼 野は茫茫
- 風吹き草低れて 牛羊見わる
- ちょくろくのうた<むめいし>
- ちょくろくのかわ いんざんのもと
- てんはきゅうろににて しやをろうがいす
- てんはそうそう のはぼうぼう
- かぜふきくさたれて ぎゅうようあらわる
字解
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- 敕勒歌
- 今の甘粛省から内蒙古一帯に住んでいた敕勒族の民謡
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- 敕勒川
- 敕勒族が遊牧する草原 「川」は山と山の間の平地
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- 陰 山
- 陰山山脈
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- 穹 廬
- 遊牧民が持ち歩いた天井の丸い移動用テント パオ
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- 籠 蓋
- おおいかぶさる 「籠」はこめる 「蓋」はおおう
意解
敕勒の草原は陰山山脈の麓に横たわり、大空はパオのように四方の平野におおいかぶさっている。
空はどこまでも青く、野原は果てしなく広がり、風が吹いて草が低くなびくと、平原のあちこちには放牧された牛や羊の姿があらわれる。
備考
この詩は敕勒地方で歌われていた民謡であると言われるが、一説に北斉の斛律金(こくりつきん)の作ともいわれるが不明である。
詩の構造は古詩であって韻は上声二十一馬(ば)韻の下、野、下平声七陽(よう)韻の蒼、茫、羊の字が使われている。
参考
この詩はもと下記のように三字、四字、七字といろいろの字数の句がまざっているが、七言古詩に分類されるのが大勢である。
敕勒川
陰山下△
天似穹廬
籠蓋四野△
天蒼蒼○
野茫茫○
風吹草低見牛羊○