漢詩紹介

読み方

  • 胡隠君を尋ぬ<高啓>
  • 水を渡り 復水を渡り
  • 花を看 還花を看る
  • 春風 江上の路
  • 覺えず 君が家に到る
  • こいんくんをたずぬ<こうけい>
  • みずをわたり またみずをわたる
  • はなをみ またはなをみる
  • しゅんぷう こうじょうのみち
  • おぼえず きみがいえにいたる

字解

  • 胡隠君
    胡(こ)という隠者(いんじゃ)のこと

意解

 何度も何度も川を渡る道すがら、花を見、さらに咲きほこるあたりの花を見る。
 春風そよぐ江(かわ)のほとりの路をゆくと、いつの間にか君の家にたどり着いてしまった。

備考

 この詩は、江南ののどかな風景をめでて楽しみつつ、隠者となって世をさけている友人の胡氏を訪ねたときの作である。
 詩の構造は仄起こり五言絶句のようであるが正格ではない拗体(ようたい)である。下平声六麻(ま)韻の花、家の字が使われている。起句は全て仄字、承句全て平字となっている。

結句 転句 承句 起句

作者略伝

高 啓 1336-1374

 名は啓(けい)、字は李迪(りてき)、江蘇省長州(蘇州市)の人、元末期の恵宗至元(けいそうしげん)2年の生まれ、幼にして頴敏(えいびん)、文武に優(すぐ)れ、詩文に巧みで史学に深かった。呉淞の青丘に住み、青丘子(せいきゅうし)と号す。元朝に抵抗して蘇州に政権を樹立した張士誠の文学集団に出入りした。官は戸部(こぶ)侍郎に就(つ)くも辞や)めて自活、のち罪に連座して処刑される。時に39歳、明(みん)初期最大の詩人で呉中の四傑「楊基(ようき)、張羽(ちょうう)、徐賁(じょひ)」に数えられる。