漢詩紹介

読み方

  • 太平洋上作有り<安達漢城>
  • 日は浪より昇って 又波に沈む
  • 海水洋洋として 紫色多し
  • 鵬影は飛ばず 鯤は躍らず
  • 碧空萬里 白雲過ぐ
  • たいへいようじょうさくあり<あだちかんじょう>
  • ひはなみよりのぼって またなみにしずむ
  • かいすいようようとして ししょくおおし
  • ほうえいはとばず こんはおどらず
  • へきくうばんり はくうんすぐ

字解

  • 太陽
  • 洋 洋
    広々とゆるやかにのびのびしたさま
  • 想像上の大鳥
  • 想像上の大魚(鯤鵬=大きなもののたとえ)
  • 碧 空
    あおぞら(碧は青く美しい石)

意解

 太平洋は波また波の広大さで太陽も波間から昇り、波間に沈むのである。海水は広々として紫一色が遥か遠くまで続いている。
 鵬(おおとり)の飛んでいる姿や、鯤(こん)の波間からも躍(おど)り出る姿も無く、静かな太平洋の上は青空が涯(はて)しなく広がり、白雲がゆったり流れてゆく。

備考

 この詩の構造は平起こり七言絶句の形であって下平声五歌(か)韻の波、多、過の字が使われている。

結句 転句 承句 起句

作者略伝

安達漢城 1864-1948

 熊本の人。済済黌(せいせいこう)に学ぶ。佐々友房(さっさともふさ)に師事し国権党に入る。以来政界に活躍し、憲政会の領袖(りょうしゅう)となり、逓信(ていしん)、内務大臣に就任した。昭和8年同志と国民同盟を結成、総裁に推(お)される。昭和8年横浜に八聖殿(はっせいでん)を、ついで熊本に三賢堂(さんけんどう)を建て吟詩の普及発展に尽くされた功績は大きい。晩年は本会顧問を委嘱、昭和23年8月没す。年85。

参考

  • 八聖殿
    釈迦 孔子 キリスト ソクラテス 聖徳太子 弘法大師 親鸞上人  日蓮上人(立正大師)を祀る
  • 三賢堂
    菊地武時(きくちたけとき) 加藤清正 細川重賢(ほそかわしげかた)を祀る