漢詩紹介

読み方

  • 修学<夢窓疎石>
  • 一日の學問 千載の寶
  • 百年の富貴 一朝の塵
  • 一書の恩德 萬玉に勝る
  • 一言の教訓 重きこと千金
  • しゅうがく<むそうそせき>
  • いちにちのがくもん せんざいのたから
  • ひゃくねんのふうき いっちょうのちり
  • いっしょのおんとく ばんぎょくにまさる
  • いちごんのきょうくん おもきことせんきん

字解

  • 千 載
    千年 永遠 「載」は歳
  • 富 貴
    金持ちで身分地位が高い
  • 一 朝
    わずかな間  一時(いっとき)
  • 一 書
    一冊の本
  • 恩 德
    恵み 情け
  • 萬 玉
    多くの宝
  • 千 金
    非常に高価

意解

 わずか一日の浅い学問であっても自分の身につけば、永遠に宝となって残るが、逆に百年もの長い年月を経て蓄えられた財産や身分でも、おろそかな心があればわずかの間にあとかたもなく消えうせる。
 意義ある一冊の書物から受ける恩德というものは、多くの宝玉よりも貴重なものであり、師の一言の教訓は、千金の重さに値する。

備考

 この詩は学問・知識の大切さ、貴重さについて、自らの体験から述べたものである。詩の構造は平仄・押韻が整っていないので七言古詩の形であって、平仄は問わない。

作者略伝

夢窓疎石 1275-1351

 鎌倉末期・南北朝時代の禅僧(臨済宗)。伊勢(三重県)の人。姓は源、号は夢窓。禅宗歴代の高僧の中でも並外れた傑物で、実力者だった。後醍醐天皇に召されて、二度南禅寺に入り、足利尊氏の天竜寺建立に開祖として迎えられた。また、後醍醐・光厳・光明の三天皇から国師号を賜った。造園技術にも優れ、西芳寺(さいほうじ=苔寺)・天竜寺・瑞泉寺等の作庭にも偉才を見せた。