漢詩紹介

読み方

  • 春衣して花に宿る<一休>
  • 吟行の客袖 幾ばくの詩情ぞ
  • 開落百花 天地淸し
  • 枕上の香風 寐か寤か
  • 一場の春夢 分明ならず
  • しゅんいしてはなにやどる<いっきゅう>
  • ぎんこうのかくしゅう いくばくのしじょうぞ
  • かいらくひゃっか てんちきよし
  • ちんじょうのこうふう びかごか
  • いちじょうのしゅんむ ぶんめいならず

字解

  • 吟 行
    思いにふける
  • 客 袖
    客衣 ころも
  • 枕 上
    まくらべ
  • ねる
  • 目がさめる

意解

 花の香りのもとで、たのしみをつくした一時の思いにふける。あっという間に散った百花の情。家に帰って寝ころんでみたものの、夢かうつつか、 まだ瞼に消えず、枕もとにかけられた衣から、その香りがただよってくる。

備考

 この詩の構造は平起こり七言絶句の形であって、下平声八庚(こう)韻の情、淸、明の字が使われている。

作者略伝

一 休 1394-1481

 室町時代の僧侶。京都大徳寺(臨済宗)の住持。字は一休。諱(いみな)は宗純。応永元年後小松天皇を父とし、藤原氏を母と して京都に生まれる。6歳の時安国寺の僧となり、13歳で詩名を博し、22歳近江堅田に華叟宗曇(けそうそうどん)の門下となる。27歳の時印 可をうけ、各地を漫遊して奇行が多かった。また書画を良くし、狂歌に妙を得ていた。文明13年11月21日没す。年88。
狂雲集、一休骸骨、一休法語等の著書がある。