詩歌紹介

CD⑤収録 吟者:岸本快伸
2018年3月掲載
読み方
- 四万十に<俵万智>
- 四万十に 光の粒を まきながら
- 川面をなでる 風の手のひら
- しまんとに<たわらまち>
- しまんとに ひかりのつぶを まきながら
- かわもをなでる かぜのてのひら
語意
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- 四万十
- 高知県の西部を流れる川 全長196㎞ 四国内で最長 また柿田川(静岡県駿東郡清水町) 長良川とともに「日本三大清流の一つ」と呼ばれる
-
- 川面
- 川の水面 かわづら
歌意
四万十川、そのゆったりとした川の流れに日差しが明るく降り注いでいる。風がおだやかな川面をやさしくなでるように吹くと、無数の光の粒がまかれ川面はきらきら輝いている。
出典
「かぜのてのひら」第二歌集(24歳の早春から28歳の冬の終わりまで、四百七十余首を収録。高校教師在職中、生徒たちとのつながりから、もう二度と歌えないものだと思う歌を数多く収めている)
作者略伝
俵 万智 1962-
大阪府門真市に生まれた。早稲田大学第一文学部日本文学科卒。在学中佐々木幸綱と出会い、短歌結社「心の花」に入会、作歌を始める。1986年、作品「八月の朝」50首で角川短歌賞を受賞。1987年、歌集「サラダ記念日」で現代歌人協会賞。1991年、史上最年少(28歳)で国語審議会委員に選ばれた。
2004年「愛する源氏物語」で紫式部文学賞、2006年「プーさんの鼻」で若山牧水賞を受賞。主な著書に歌集「かぜのてのひら」「チョコレート革命」などがある。
備考
この歌は風を擬人化して詠んだ。擬人化された風の手のひらが川面をなでるので、まるで光の粒がまき散らされたように、川面がきらきらと輝いている。