詩歌紹介

CD③収録 吟者:谷崎奘皚
2015年9月掲載

読み方

  • かきくへ<え>ば かねがなるなり ほう<お>りゅうじ

語意

 

法隆寺=奈良県生駒郡斑鳩(いかるが)町。聖徳太子によって建立(こんりゅう)された 日本最古の木造建築物。「イカルガ」という小鳥(雀科)の群れが空に舞いあがったところからその地が斑鳩と呼ばれるようになったとの伝説がある。

句意

 法隆寺に立ち寄ったのち、門前の茶店で休息して柿を食べていると、法隆寺の鐘がゴーンとひびきわたり、大和の風情が身に泌みる思いである。

季語

 柿─秋

出典

 「寒山落木」巻四

作者略伝

正岡子規 1867─1902

 愛媛県松山に生まれた。本名は常規(つねのり)、幼名處之助(ところのすけ)また升(のぼる)。別号は獺祭書屋(だっさいしょおく)主人・竹の里人(さとびと)。俳人であり歌人。「獺祭書屋俳話」は明治25年、「歌よみに与ふる書」は明治31年に、新聞「日本」に掲載。雑誌「ホトトギス」を創刊。没後「アララギ」へと発展する。明治35年没す。年36。

備考

 明治28年松山より広島・須磨を経て大阪・奈良に遊んだ10月秋の作品。東大寺転害門南側の対山楼(たいさんろう)の宿帳に「明治28年10月24日正岡常規泊」と記されている。柿好きの子規を思わす最も有名な句として知られている。