詩歌紹介

CD③収録 吟者:谷崎奘皚
2015年10月掲載

読み方

  • にじたちて たちまちきみの あるごとし

句意

 小諸(こもろ)の町で浅間山にかけて虹がかかった。「虹がかかったら、その虹の橋を渡ってあなたのもとへ行きます」と言った君が、今ほんとうにここにいるようである。

季語

 虹─夏

出典

 「六百句(ろっぴゃくく)」

作者略伝

高浜虚子 1874─1959

 愛媛県松山市に生まれる。本名清。俳人・小説家・正岡子規の門下。子規の命名により虚子と号する。明治45年、俳句雑誌「ホトトギス」を主宰し、現代俳句を確立する。昭和29年文化勲章受章。

備考

 昭和19年、虚子70歳の作。入院していた愛弟子(まなでし)森田愛子との間に漂う師弟間の情愛を歌った美しい句である。