詩歌紹介

CD③収録 吟者:熊谷峰龍
2015年10月掲載

読み方

  • なのはなや つきはひがしに ひはにしに

語意

     月は東に日は西に=中句と下句を対句にしているが、東から月が昇りほぼ同時に西に日が沈むのは、満月近くの月である。

句意

 見渡すかぎり一面黄色に咲き広がった菜の花畑の地平の東の空には金色(こんじき)の春月が昇り始め、夕日が西の空を赤く染めて、沈もうとしている。

季語

 菜の花─晩春(春)

出典

 「蕪村句集」

作者略伝

与謝蕪村 1716─1783

 姓は谷口、のち与謝と改め、芭蕉より約100年後に出た江戸中期の俳人・画家。
 摂津の国、毛馬(けま)村(現在の大阪市都島区)に生まれ、江戸に出て其角(きかく)の門人に俳諧を学び名を知られたが、のち日本各地をめぐって放浪の旅を続けた。京の丹後与謝に落着いてからは、画家としても併せて文名は高くなり、おとろえかけていた俳諧に力を入れて天明俳諧の中心人物となった。

備考

 作品には「新花摘(しんはなつみ)」「玉藻(たまも)集」など多くの俳文、句集あり。又日本南画の大成者として池大雅(いけのたいが)と並称され、「蘭亭曲水図」「十宣図」など多くの作品を残す。また書においては自画賛、詠草、書状などの遺墨が伝存する。