詩歌紹介

吟者:中島 菖豊
2011年8月掲載

読み方

  • いものつゆ れんざんかげを ただしゅうす

語意

    影=ものの形、ここでは山の姿そのもの

句意

 露の多い晴れた朝、辺りの里芋畑の大葉にびっしりと置いたように玉の露が輝いている。晴れて澄み渡った空の遠くを眺めると、南アルプスの連山がみずから姿勢を正すかの如く、くっきりとその姿を現している。

季語

 露─秋(「芋」も秋の季語であるが、ここでは「露」が主たる季感を表す)

出典

 「山廬集(さんろしゅう)」

作者略伝

飯田蛇笏 1885─1962

 山梨県生まれ。地主の長男で本名は武治(たけはる)。別号山廬。大正・昭和の俳人。早稲田大学英文科中退。高浜虚子の指導を受け句作をしていたが、24歳で帰郷し家業を継いだ。その後、故郷の自然や生活を対象とした俳句に努力を重ね、蛇笏調といわれる句風を作り上げ、「ホトトギス」の代表的俳人として活躍した。
 1915年(大正4年)「キララ」を主宰、大正7年誌名を「雲母」と改めた。句集に「山廬集」「霊芝(れいし)」「椿花集(ちんかしゅう)」等がある。