詩歌紹介

CD③収録 吟者:熊谷峰龍
2015年10月掲載
読み方
- りゅうひょうや そうやのとなみ あれやまず
語意
宗谷=北海道北端の地。ここでは、樺太の南端と宗谷岬の間の海峡。
門波=海峡に立つ波 ここでは宗谷海峡
句意
冬の間吹雪にとざされる宗谷海峡も、春が近づき流氷が見えるが、まだ海峡の波は荒く収まりそうにない。
季語
流氷─春
出典
「凍港(とうこう)」
作者略伝
山口誓子 1901─1994
京都に生まれる。本名は新比古(ちかひこ)。大正・昭和・平成の俳人。中学時代は樺太で過ごす。第三高等学校を経て、東京帝国大学(現・東京大学)法学部を卒業。
俳句を高浜虚子に師事し、「ホトトギス」派として活躍する。のちに「馬酔木(あしび)」の同人となり、「天狼(てんろう)」を主宰する。句集には「凍港」「炎昼(えんちゅう)」「激浪(げきろう)」等多数ある。
備考
誓子は事情あって父母と離れ、12歳の時、祖父を頼って樺太にゆき4年半程いた。この句は26歳の時の作で、処女句集「凍港」に収録されたものである。樺太にいた当時の印象をまとめたもので、連絡船からみた情景を詠ったものであろうか。