4326 返り点についての素朴な疑問

  • 投稿者:
    @詩吟の新人です。
  • 地区:
    静岡県
  • 支部:

「望天門山」(A4-1)の2句目に「碧水東流至北廻」というのがあります。「碧水東に流れて北に至りて廻る」とあります。「至北」にはレ点が付いていますが、「東流」には、レ点がありません。「東流」も「東に流れ」と読ませる場合はレ点が必要に、思いますが、ネットでも、どの本でも、「白分」は「東流」です。李白の原典(出典?)が「東流」ということでしょうが、その場合日本語的には、「至北」に対して「流」は1字の動詞として「ながれ」れとは読まず、2字の名刺?として「東流(とうりゅう)」と読むのが自然ではないかと、素朴に感じました。中国の「中国国際放送」の「望天門山」の朗読を聞いても、中国語朗読なので、当たり前ですが、「東流至此回」と(*註)とても音楽的な余韻を感じさせる朗読をしています。インターネットでは、「東流(とうりゅう)」と「東に流れ」が半々です。ネットの解説も勿論立派な先生がなされているとは思うのですが、ハンドルネームが多く、1つの「意見」としか受け取れません。その点、書籍は、著者も経歴も明記されており、ある面では納得できます。前野直彬著のワイド版岩波文庫「唐詩選・下」と青木正兒著の集英社「漢詩選8李白」は、共に「東流」と書かれた白分の下に、「とうりゅうし・・・」と「書き下し文」が付されています。レッスンでは、教本通りに教わり、その通り習得していますので、何の問題もありませんが「2字に動詞が絡む場合はレ点を付ける」と習った記憶があり、原典(出典)が「流東」ではなく「東流」なので、やはり日本語的には「とうりゅう」と読むのが自然ではないかと、素朴に感じ、いろいろと調べてみました。ご高説をお伺いできれば、大変有難いです。(*註)1本に「碧水東流至此回」というのがあります。長文にて失礼します。

投稿日時: 2010/09/24 21:44:50

No.4327 Re:返り点についての素朴な疑問

  • 投稿者:
    森口雪孝
  • 地区:
    大阪府
  • 支部:
    HP委員

「東流」を「とうりゅう」と読まずに「東に流れて」と読むことの疑問について、教本詳解にも特にコメントはありませんが、詩文を見ないで聞いた時、「とうりゅう」が「逗留」に解釈されては意味が通じません。そのため「音読」よりも日本語的にわかり易い「訓読」とする場合があると理解しております。
原文が「流東」であれば、当然「レ点」をつけるのでしょうが、「レ点」をつける場合は日本語の文法のため、下の語を先に読み上の語を後で読む方法であり、「を」や「に」の読み方に「レ点」がつけられています。
しかし「レ点」をつけない「に」の読み方の例外もたくさんあります。一例を挙げますと、
・東還(とうかん)は、東に還る。
・東行(とうこう)は、東に行く。
・東向(とうこう)は、東に向う。
・東昇(とうしょう)は、東に昇る。
・東遷(とうせん)は、東に遷る。
・東渡(とうと)は、東に渡る。
・東臨(とうりん)は、東に臨む。
等々は、音読よりも訓読の方がより日本語的に理解しやすい読み方と思われます。
なお、本件のご質問について教養指導部からコメントがありましたら、改めて補足させていただきます。(HP委員)

投稿日時: 2010/09/28 22:48:31