7690 黄鶴樓の詩文

  • 投稿者:
    鈴木芦泉
  • 地区:
    神奈川県
  • 支部:
    東京芦孝会

テキストB2-1黄鶴樓の首輦1句目は。「白雲に乗じて」となっていますが、youtubeでの他の流派の多くが、「黄鶴に乗じて」と吟じています。文献でもそちらが多いかと。どちらもあるということでしょうか?

投稿日時: 2018/04/01 10:47:51

No.7691 Re:黄鶴樓の詩文

  • 投稿者:
    森口雪孝
  • 地区:
    大阪府
  • 支部:
    HP委員

【示板アラカルト】の2.教本・作詩に関する質問等の《(14)黄鶴桜の「白雲」について》、次のように記載しておりますので参考にしてください。
関西吟詩文化協会の「教本詳解(B)之巻」の解説に記載がありますので、抜粋して紹介します。
【尚この詩、第1句全唐詩には「乘黄鶴」とあるも、本会でも唐詩選の「乘白雲」を採る。説にいう「この詩は第1句と第4句、第2句と第3句が対応し、1と3はかつての白雲と黄鶴、2と4は今も残る黄鶴楼と白雲をうたうという技巧が用いられているのだから「乘白雲」の方をとる。】
・また、集英社の漢詩大系(唐詩選)には「乘黄鶴」と記載されておりますが、その中の解説では、通行本には「乘白雲」となっており、それでも意味は通ずる。大典の唐詩集註も「乘黄鶴」によっている。と記載されています。
・興味があれば、さらにご自身で勉強し探究してください。(HP委員)

投稿日時: 2018/04/02 10:41:16

No.7692 Re:黄鶴樓の詩文

  • 投稿者:
    鈴木芦泉
  • 地区:
    神奈川県
  • 支部:
    東京芦孝会

森口先生 ご教示ありがとうございました。「乗白雲」説、参考になりました(教本詳解まで読めておりませんでした)。誠に僭越ですが、一方の「乗黄鶴」説について、にわか勉強しているところを記させていただきます。

石川忠久先生は「漢詩鑑賞辞典」のなかで(124ページ)、「前半3句で黄鶴が三度繰り返されてリズム感が出ている。その技法の先例として、沈佺期の「竜池篇」で「竜」が五回、「天」が四回畳用されている点を指摘していらっしゃいます。

李白は崔顥のこの黄鶴楼にはとても及ばぬと言いつつも競い「鳳凰岱」を作ったとあります。李白は首聯で「鳳凰」の「鳳」を三回繰り返しているのは、黄鶴楼を密かに倣っているとし、又、後世「律詩の祖」と称された沈佺期の技法をも引用したと評していらっしゃいます。

「竜池篇」の竜とはかの玄宗皇帝を指しており天はその治世の確実さを賛美とあります。蛇足の勝手な憶測ですが、その玄宗に追われた李白としては実に複雑な心境での作詩でもあったのではないでしょうか?私は今年、準師範の昇格試験を目指しています。「黄鶴楼」「鳳凰岱」共に課題詩ですが、試験日にもしも、「黄鶴楼」が吟詠指定されましたなら、当然「白雲」に乗ります!(笑)失礼しました。

投稿日時: 2018/04/05 11:03:47