課題と作例

春季号(205号)課題「秋夜聽蟲」[しゅうやむしをきく]

秋夜聽蟲

読み方

  • 秋夜聽蟲(しゅうやむしをきく)
  • 西風(せいふう)瑟瑟(しつしつ)夜涼(やりょう)生(しょう)ず
  • 喞喞(しょくしょく)籬邊絡(りへんらく)緯鳴(いな)く
  • 泣(な)くが如(ごと)く噎(むせ)ぶが如(ごと)く哀韻(あいいん)の調(しら)べ
  • 窓前(そうぜん)灯下(とうか)吟情(ぎんじよう)を動(うご)かす

解説

 「秋夜聽蟲」の試題は秋の夜、虫の音を聞いて作者が何を感じる何を思ったかを詩にすればよい。先ず全体の構図を心の中で描く。繰り返すようですが秋の夜の風景、いずれのところで虫が鳴いているか、その虫の声どのようであるかを思い浮かべ、それによって作者のこころがどうであったかを構図として描く。その後、それに当てはまる字句を探せば良い。
 間違い易いのは、(どの句にも通用する)上の二文字二文字さきにきめてから下三文字を探している様に見受けられます。そうではなく作者が一番言いたいことを下三文字に持ってきて、それを修飾する文字を上二文字二文字にいれる、逆の場合一句を読んでもつながりの悪い句になります。
 転句下三文字は虫の鳴く様子が哀しそうにきこえる故、「哀韻調」を置き、その理由として「加泣如咽」を置いた。結句下三文字は転句の意味を汲んで作者がどの様に思ったかで「動吟情」を置き、作者の居る場所の設定で「窓前澄下」とした。これで庚韻が決まった。起句は秋夜の景色を出す為に「夜璽」を置く。風の寂しく吹く様子を「西風瑟瑟」を置き、承句は虫が鳴くので「絡緯鳴」を入れ、小さく細く籬でという事で「喞喞籬邊」を入れて七言絶句が完成した。
秋季号課題詩「秋夜聽蟲」 受付7月1日~10日迄 厳守