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江南春望
<杜 牧>
こうなんしゅんぼう
<とぼく>
千里鶯啼いて緑紅に映ず
せんりうぐいすないて みどりくれないに えいず
水村山郭酒旗の風
すいそんさんかく しゅきのかぜ
南朝四百八十寺
なんちょう しひゃくはちじゅうじ
多少の樓臺煙雨の中
たしょうのろうだい えんうのうち
酒 旗
酒を売る家の目印の旗
山 郭
山あいの村
南 朝
呉・晋・宋・斉・梁・陳の六朝頃 江南に都を置いたので南朝という
春は千里四方に満ちて、到る所で鶯が鳴き、緑の若葉は紅い花に映りあって、まことに美しい。水辺の村にも山あいの村にも、 酒屋の旗が春風にはためいているのが見える。
思えばあの南朝の頃には仏教が盛んで、この地には四百八十もの寺院が建てられていたというが、 今もなお多くの楼台が、けむるような霧雨の中に聳え立っているのが、あちらこちらに見える。
この詩の構造は仄起こり七言絶句の形であって、上平声一東韻の紅、風、中の字が使われている。仄起こりとは起句の二番目の字が仄字である場合をいうのである。 右にこの詩の平字仄字の関係を明記しておくので、よく吟味して作詩の参考にしてください。なお転句の八十寺は下三連なので、唐宋以降の詩詞中にはハッシンジと平声に読むこともある。
結
句
転
句
承
句
起
句
杜 牧
803−852
晩唐の詩人、字は牧之[ぼくし]、号は樊川[はんせん]、京兆万年(陝西省長安県)の人。名家の出身にして828年進士に及第後、地方、中央の官を歴任し中書舎人となって没す。年50。資性剛直、容姿美しく歌舞を好み、青楼に浮名を流したこともあった。樊川文集二十巻、樊川詩集七巻あり、阿房宮賦[あぼうきゅうふ]は早年の作にして文名を高めた。
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