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漢詩紹介

偶成 朱熹
吟者:藤本曙洌
2011年1月掲載[吟法改定再録]
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読み方

 偶成  <朱 熹> ぐうせい  <しゅき>
少年老い易く學成り難し しょうねんおいやすく がくなりがたし
一寸の光陰輕んず可からず いっすんのこういん かろんずべからず
未だ覺めず池塘春草の夢 いまださめず ちとうしゅんそうのゆめ
階前の梧葉已に秋聲 かいぜんのごよう すでにしゅうせい

字解
 偶 成   偶然にできた、という意味
 光 陰  日陰、時間のこと
 池 塘   池のつつみ
 階 前   きざはしの前 玄関先の意
 梧 葉   桐の葉 梧は青桐

意解
若者は年をとり易く、学問はなかなか完成しにくい。だから少しの時間でも軽々しくしてはならない。さて、池の堤の若草の上でまどろんだ春の日の夢がまだ覚めないうちに、庭先の青桐の葉には、もう秋の声が聞かれるように、月日は速やかに過ぎ去ってしまうのである。

備考
池塘春草夢、これは謝霊運[しゃれいうん](六朝宋の詩人)が、ある時「池塘生春草」 という句を得て大層得意であった。今この詩にこの句を取ったのは「若いときに自分の才能に得意がっていると、 悲しい老いが直ぐに来るぞ」と暗に知らしているのである。
この詩の構造は平起こり七言絶句の形であって、下平声八庚韻の成、輕、聲の字が使われている。





作者略伝
朱 熹 1130−1200
  南宋の哲学者、朱子学の創始者。字は仲晦[ちゅうかい]または元晦[げんかい]、名は熹[き]、号は晦庵[かいあん]、晦翁[かいおう]、紫陽[しよう]等あり、朱子はその尊号、福建省建州に生まれる。紹興[しょうこう]18年(1148)進士に及第。李近年[りきんねん]に師事す。宋代にはじまった新しい儒学(宋学)を首尾一貫した体系にまとめ朱子学を完成した人。朱子学は徳川幕府の官学として権威があり、近年までわが国思想の背景をなした。慶元6年没す。年71。

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