漢詩とは

1.起源

中国の詩は3,000年以上の歴史があります。つまり紀元前12世紀頃に漢詩の源があります。日本に伝わって来たのは、紀元後6世紀-7世紀頃です。そして今日まで盛衰をくり返し、今も多くの人に読まれ、また詩吟として詠われています

2.詩経[しきょう]

紀元前12世紀から紀元前6世紀頃、周という国から春秋時代といわれる約600年、黄河流域で歌われていた歌謡の中から、305編を孔子[こうし]が選定しました。これが詩経といわれ、漢詩の源をなすものです。

3.楚辞[そじ]

春秋時代に続く戦国時代(紀元前403-紀元前206)に、長江流域に楚[そ]の国が栄え、長江流域にはやっていた民謡が屈原[くつげん]という詩人によって整えられました。これが楚辞です。詩経は北方文学、楚辞は南方文学の代表的な作品です。

4.楽府[がふ]

続いて漢(紀元前206-紀元後220)代に入ると楽府というのが流行します。これは漢の時代に、宮中で音楽に合わせて歌われたものです。

5.五言詩[ごごんし]

詩経は四言、楚辞は三言を基調としていましたが、後漢[ごかん]の末頃(2世紀末)読人知らずの「古詩十九首」の五言詩が生まれ、以後500年くらい、五言詩の全盛時代となります。

6.七言詩[しちごんし]

つづいて、魏[ぎ]・晋[しん]・南北朝(3世紀-6世紀)を経て、唐代(628-907)に入ると七言詩が生まれます。この時代に李白[りはく]、杜甫[とほ]、王維[おうい]、白居易[はくきょい]等多くの有名な詩人が生まれ、色々な法則が確立され、これが近体詩と呼ばれ、今日我々はその法則に基づいて漢詩を作ります。
我が国では平安時代に菅原道真や空海等によって、漢詩も高められ、鎌倉から室町時代にかけて、五山の僧侶を中心として栄え、江戸時代に入って、荻生徂徠[おぎゅうそらい]、頼山陽[らいさんよう]等多くの漢詩人が輩出し、全盛時代を迎えました。明治以後もその伝統を受けつぎ、今日でも多くの吟詠家によって、詩吟として歌われまた漢詩を学び作詩する人もたくさんおります。